橋本病(慢性甲状腺炎)について

原因


橋本病は甲状腺に対する自己抗体ができることで慢性的な炎症を生じ、甲状腺の細胞がゆっくり破壊されていく疾患で「慢性甲状腺炎」とも呼ばれます。甲状腺ホルモンの分泌が徐々に減少していくため、約2~3割の方で分泌量が通常より低下していると言われ、バセドウ病とは対照的に甲状腺ホルモンが少なくなる原因として代表的な疾患です。

 

女性に多く、男女比は1:20~30とされ、特に30~40代の女性に多いと言われています。また抗体ができる原因は明らかになっていません。

 

症状


甲状腺ホルモンの量が正常の場合には症状を認めませんが、低下してくる気力低下、疲れやすさ、寒さを感じやすい、むくみ、体重増加、便秘などの症状が出る場合があります。慢性炎症によって甲状腺が腫れたり硬くなる場合がありますが、痛みなどの症状はない場合が多いです。

 

 

検査


血液検査では甲状腺に対する自己抗体である「抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体」や「抗サイログロブリン(Tg)抗体」の上昇を認めます。また甲状腺刺激ホルモン(TSH)の上昇や甲状腺ホルモン(FT3、FT4)の低下が見られる場合もあり、その場合代謝機能が落ちることでコレステロール値が高くなる可能性があります。

 

超音波検査では初期では甲状腺が大きくなることがありますが逆に時間が経つと委縮して小さくなるケースも見られます。また慢性炎症に伴う変化により甲状腺内部の性状が不均一になることもあります。

 

血液検査や超音波検査については当院院内で実施して診断を行うことが可能となっております。

 

治療


甲状腺機能が低下している場合は治療の適応があり(特にTSH値が10μU/mL以上の時)、甲状腺ホルモン剤(飲み薬)を内服してホルモンを補充する必要があります。少量から補充を開始し、血液検査で経過をみながら内服量を調節してホルモン値を適切な範囲に保ちます。一度甲状腺機能が低下すると多くの場合長期にわたって内服を続ける必要があります。

 

昆布などの海藻類はヨウ素が多く含まれていてこれには甲状腺ホルモンが体内で作られるのを抑える働きがあり、甲状腺ホルモンが少なくなっている方に関しては大量に摂取することは控えた方が無難です(少量~普通の量であれば問題になることは少ないです)。

 

 

さわやか内科クリニック